結論
振込手数料は、取り決めがなければ、お金を支払う側(請求書を受け取った側)が負担するのが民法の原則とされています(民法 第485条)。取引先と取り決めて、受け取る側が負担することもあります。ただし、フリーランス法の対象の取引では、振込手数料を報酬から差し引くことは、合意があっても「報酬の減額」に当たるとされています。
民法の原則
民法 第485条では、弁済(支払い)の費用について特に取り決めがないときは、その費用は債務者(支払う義務がある側)の負担とされています。振込手数料も、この「弁済の費用」として扱われるのが一般的です。
同じ条文のただし書きでは、受け取る側(債権者)が住所の移転などで費用を増やしたときは、増えた分は受け取る側の負担とされています。
フリーランス法の対象の取引では
従業員を使う発注者などが、フリーランス(従業員を使わない個人や、ひとり社長の会社)に1か月以上の業務を委託したときは、報酬の減額などが禁止されています(公正取引委員会 フリーランス法特設サイト)。
- 公正取引委員会のQ&Aでは、フリーランスの口座に報酬を振り込む手数料をフリーランスに負担させ、報酬の額から差し引くことは、合意の有無にかかわらず、報酬の減額に当たるとされています(Q30・Q78)。
- 例外として、フリーランス側の都合で振込先の口座を変えたため手数料が増えたときは、増えた分をフリーランスに負担させることは認められるとされています(Q78)。
どの取引がフリーランス法の対象になるかは、請求書の支払期限の決め方にまとめています。
請求書への書き方
- 支払う側の負担にしてもらうときは、備考に「恐れ入りますが、お振込手数料は貴社にてご負担くださいますようお願いいたします。」のように書いておくと、行き違いを防げます。
- 取引の初めに決めた取り決めがあれば、それに合わせて書きます。
- 書類作るさんでは、請求書の「備考」に書いた内容が、PDF にもそのまま入ります。
振込手数料が差し引かれて入金されたときは
取り決めがないのに手数料が差し引かれていたときは、まず取引先に確認してください。フリーランス法の対象の取引では、上のとおり報酬の減額に当たるとされています。帳簿のつけ方(差し引かれた額をどう記録するか)は、お使いの会計ソフトの案内や、税理士にご確認ください。
根拠(国税庁・法令など)
- 民法 第485条(弁済の費用)(e-Gov 法令検索・2026/10/20 確認)
- フリーランス法に関するQ&A(Q2・Q45〜Q57 支払期日、Q78 振込手数料)(公正取引委員会・2026/10/20 確認)
- フリーランス法特設サイト(取引条件の明示・期日における報酬支払・禁止行為)(公正取引委員会・2026/10/20 確認)
制度の説明は、根拠の資料をもとにした一般的な内容です。個別の取引の扱いは、国税庁・公正取引委員会などの案内や、税務署・税理士・弁護士にご確認ください。制度の根拠の一覧は対応している制度と根拠にまとめています。