結論
メールで受け取ったPDFの請求書・領収書は「電子取引」のデータとして、データのまま保存する必要があるとされています(令和6年1月以後)。専用のシステムがなくても、ファイル名を決まった形にしてフォルダに分け、「事務処理規程」を決めて守れば対応できるとされています。さらに、2年前の売上高が5,000万円以下で、税務調査のときにデータの提出(ダウンロードの求め)に応じられるようにしていれば、検索の要件は不要とされています。
データのまま保存する
- 電子的に受け取った請求書や領収書は、データのまま保存しなければならないとされています(電子帳簿保存法一問一答 問30)。
- 印刷した紙をファイルに綴じておくことは禁止されていませんが、印刷したあとにデータを消すことはできません。データが原本として扱われます。
- 保存する書類の範囲は、紙でやりとりしていたときに保存が必要だった書類(請求書・領収書・見積書・注文書など)と変わらないとされています。
守ること(専用のシステムがない場合)
国税庁の資料では、次の2つを満たす必要があるとされています。
1. 改ざんされていないことを示す(真実性)
- 専用のシステムがなければ、「不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程」を決めて守る方法で満たせるとされています。規程のひな形(サンプル)は国税庁のホームページに載っています。
- ほかに、タイムスタンプが付いたデータを受け取る、訂正や削除の記録が残るシステムで保存する、といった方法もあります。
2. あとで見られる・探せるようにする(可視性)
- パソコンとディスプレイ(モニター)、操作の説明書などを備え付けておきます。
- 「日付・金額・取引先」で探せるようにしておきます。一問一答(問19)では、専用のソフトがなくても、ファイル名に規則をもって内容を入れ、フォルダに分けて保存する方法が示されています。
ファイル名の例(一問一答 問19 の例と同じ形):
20210131_㈱霞商店_110000.pdf(2021年1月31日に株式会社霞商店から受け取った、110,000円の請求書)
検索の要件が不要になる場合
次のどちらかに当たり、税務調査などのときにデータの提出(ダウンロードの求め)に応じられるようにしていれば、「日付・金額・取引先で探せる」要件は不要とされています。
- 基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者(個人事業主は、前々年の1月〜12月の売上高)
- データを印刷した書面を、取引の日付と取引先ごとに整理して、見せたり出したりできるようにしている事業者
この場合も、データそのものは消さずに保存しておく必要があります。売上高は消費税を除いた税抜の金額で数え、非課税の売上も含めるとされています。くわしくは一問一答(問51)で確かめてください。
準備が間に合わないときの猶予措置
保存のルールどおりに保存できなかったことについて、税務署長が「相当の理由がある」と認め、税務調査などのときにデータのダウンロードと印刷した書面の提示・提出に応じられるようにしていれば、データを保存しておくだけでよいとされています(猶予措置)。ただし、印刷した書面だけを残してデータを消すことは、この場合も認められていません。
令和5年12月31日までの取引に使えた「宥恕措置」は、期限で廃止されています。
保存する期間
保存期間は紙の場合と同じで、個人事業主なら書類の種類と青色・白色の別で5年か7年とされています。くわしくは領収書の整理と保存の表をご覧ください。
書類作るさんで作った書類を送るとき
- 書類作るさんで作った PDF のファイル名は「発行日_書類の種類_取引先_金額」の形になります(例:
2026-10-31_請求書_見本株式会社_¥110,000.pdf)。受け取った側が、日付・取引先・金額で整理しやすい形です。 - 送った側も、メールで送った請求書のデータを保存しておく必要があるとされています。作った PDF は消さずにとっておきましょう。
根拠(国税庁・法令など)
- 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)(国税庁・2026/10/20 確認)
- 令和6年1月からの電子取引データの保存方法(令和5年12月)(国税庁・2026/10/20 確認)
- 税の基礎知識「記帳や帳簿等保存・青色申告」(帳簿書類の保存期間の表)(国税庁・2026/10/20 確認)
制度の説明は、根拠の資料をもとにした一般的な内容です。個別の取引の扱いは、国税庁・公正取引委員会などの案内や、税務署・税理士・弁護士にご確認ください。制度の根拠の一覧は対応している制度と根拠にまとめています。